襟裳岬から7km、百人浜の北側に、静かに水を湛えた小さな沼がある。その名を悲恋沼という。
その由来となったのが、和人「久作」とアイヌ「マエラ」の悲しい恋の物語。
時は江戸時代・寛文年間、アイヌ同士の民族争いが起こり、時を同じくして久作は内地へ帰ることとなった。
この世では結ばれない運命と知ったふたりは、あの世での再会を誓い別れることとなる。
久作の船を見送った後、幾日も浜辺で泣き続けたマエラ。彼女の姿はなくなり、後に残った涙のしずくでこの沼が生まれたという伝説が残る。
周囲400mの小さな沼ながら夕暮れから星を見るのにぴったりで、ロマンチックな場所。
遥か彼方に見える日高山脈の稜線。静かな水面に夕陽が映し出され、オレンジ色に染まっていく情景は息をのむほど美しい。
夜になると肉眼でもものすごい数の星が見られ、夏には輝くホタルの舞との共演が鑑賞できるかもしれない。
夏の夜、水辺に舞うホタルは再会した二人の姿なのかもしれない。また秋の紅葉も見事である。