絵鞆半島の外海岸側には、アイヌ語の地名と、その由来となった自然環境が今も良く残されており、アイヌ文化の自然の捉え方や精神性を実感できる景勝地である「名勝ピリカノカ絵鞆半島外海岸」として、2012年1月24日に名勝指定された。
指定地は以下の4カ所になる。(現在の地名/所在地/アイヌ語による元来の地名/地名の語義、由来の順に記載)
●ハルカラモイ/増市町/ハルカルモイ/食料・とる・入江。
ハルカルモイはアイヌ語で「食料を採る入江」という意味。U字型に切り取られた崖が印象的な景観だが、地名の由来は崖の下にある小さな浜辺。漁労活動が盛んに行われていたことがうかがえる。
●増市浜/増市町/マスイチセ(マシュイチセ)/海猫の・家。
地名の由来となったのは、名前のとおり海鳥が多く営巣する海上の岩。付近にはローソク岩や仲よく並んだカモメ岩、通称“象岩”と呼ばれる象が寝そべった形そっくりの岩があり、また、噴火湾を隔てた駒ケ岳などの眺望はパノラマを見るようで、室蘭八景の一つになっている。
●地球岬/母恋南町/ポロチケウェ/親である・断崖。
指定範囲にはポンチケウェの地名を含む。現在の地名は「チケプ」(削られたもの・断崖)が転化し、そこに地球という当て字が使われたといわれている。1985年の「北海道の自然100選」(朝日新聞)、1986年の「あなたが選ぶ北海道景勝地」(北海道郵政局)でそれぞれ第1位になった。
●トッカリショ浜/母恋南町/トゥカリショ/アザラシ・岩。
指定範囲にはアトカニの地名を含む。語源は「トカル・イショ」(アザラシの岩)で、緑のベルトと奇岩で綾なす絶壁の景観、イタンキ浜を左手に見ての海原の静寂さが奇妙な対照をつくり、本市を代表する景勝地として室蘭八景のひとつに選ばれている地点。