日本一の秘境駅と呼ばれる小幌駅から徒歩にて訪問できる、秘境中の秘境にあるのがこの岩屋観音(小幌洞穴遺跡)。小さな湾と断崖に囲まれた神秘的な雰囲気を体感できる小幌洞窟は、およそ300万年前の海底火山の噴火によって形成された地形が波によって削られてできた洞窟で、縄文時代晩期から現代まで利用されている。
現在の岐阜県出身の僧・円空がこの洞窟にこもり5体の仏像を彫ったとされており、現在は円空が生涯に各地で彫った仏像のレプリカが安置されている。
この地には、
「昔、礼文華山道を歩いていた回国の僧が大熊と出会い、必死で逃れようとして小幌の洞窟にたどりつきました。 洞窟の中に仏像があったのでその陰に身を隠していると、大熊はその仏像の頭を食いちぎって去って行きました。おかげでこの旅の僧は助かり、そのことを礼文華のコタンの人々に伝えたのでした。」
という言い伝えが残っており、これ以来、人々はこの仏像を「首なし観音」とあがめるようになった。
また、この仏像は「岩屋の観音様」とも呼ばれ、豊漁や海の安全を祈願する人々の信仰の対象になった。
2010年には洞爺湖有珠山ジオパークが世界ジオパークに登録され、小幌洞窟周辺海岸もジオサイト に指定され、この貴重な秘境「小幌洞窟」を訪れる人々には、大自然のつくり出した造形の美とともに、歴史的背景にも思いを馳せていただきたい。